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2001-2002年度会長報告

第2826回例会会長あいさつ 2002.4.17 

2002 年 4 月 17 日

2005-6会長

 地区大会は地域振興が柱
 2500 地区、小船井修一ガバナーエレクトの、インターネットによる情報をお伝えします。4月12日にガバナーエレクト事務所幹事会議が開かれました。次年度地区大会は次期RI(国際ロータリー)会長の「慈愛の種をまきましょう」という方針に従い、「はじめよう、笑顔の種まき」をテーマに据えています。「地域社会(大地&街&北海道)」や「経済活力」、つまり地域振興を柱に開催しようとしています。会場の釧路は、太平洋炭鉱問題など地域の地盤沈下が激しいという背景があるためです。同時に、会員減少の傾向が明らかで、真剣に会員増強に取り組むとの議論がされています。

 地域と今を、アートを通して見る「デメーテル」
 地域振興に絡み、今日は「とかち国際現代アート展デメーテル」についてお話しします。7月13日の開幕まであと88日となりました。順調に準備が進んでいますが、今一つ内容について理解されていない部分があり、私は実行委員長を務めておりますので、内容について少しご紹介しましょう。
 現代アートは分かりづらいという声が聞かれます。抽象画をイメージされる方が多いようですが、デメーテルはそうではありません。十勝が持っている風土、現在生きている私たちの精神、ここでの産業といったものをアートに反映させる。木や流木、麦など、地元のいろいろな素材を使ったインスタレーションです。
  自分たちが生きている現在を、アーティストの目を通してみるという点で非常に意味があります。地域のみならず世界的な課題となっている環境、情報、高齢化も、確実に反映するでしょう。

 「デメーテル」は美しい十勝の表現
 私たちがこのアート展を企画した最大の趣旨は、「美しい十勝の形」をアートで表現したいということだと考えています。現代では産業、地域社会づくりもすべて環境問題との取り組みが最大の課題ではないでしょうか。
 例えば地産地消、地元で作られたものを私たちが積極的に消費することが大事で、かつエネルギーも消費しない。例えばアスパラガスはオーストラリア産が非常に多くなっています。しかし日本への空輸には、アスパラ1キロあたり8リットルのジェット燃料を消費します。たくさん食べることが、結果的に環境を悪化させるのです。地元素材を食べることが一番環境によいと分かっている以上、地産地消は間違いなく、今後の私たちに与えられた大きなテーマです。
 もう一つ、林業の振興・繁栄もとても重要な課題です。木が二酸化炭素を吸着してくれますから、もっと植林をして森を回復する必要があります。そのためには私たちが地場の木を使うことが大切です。自分の家を建てる時に例えばカラマツなど地場材を使う、自治体の庁舎にも使う。そして地場の木材を使って家を建てると自治体が補助を出すといったインセンティブ行政を行うなどの対策をとり、地域の林業を育てなければなりません。

 空を見る、花火を使う、アイヌ文化を反映する
 デメーテルも、環境問題、そして産業振興についてしっかりと展望いたします。どのような作品が出品されるのでしょうか。参加アーティストの現段階での構想をご紹介します。
 メーンとなる作家、オノ・ヨーコ氏。ジョン・レノンの妻ですが、十勝の空を、幾つものテレビモニターに映し出すことを考えています。空を見上げるということは、顔を上げるということです。「笑顔の種まき」にも共通しますが、日本人はこういう不況期になると下を向き、縮んでしまう。アメリカ人はまったく逆で、テロに遭うとますますファイティングスピリットを燃やし、前向き志向をします。視線を上げることを伝えてくれるでしょう。
 蔡國強氏は、上海エイペックでフィナーレをプロデュースしました。壮大な花火作品はNHKでも放映されたところです。デメーテルでは中国製飛行船を競馬場に持ってきてけい留し、火薬・花火を使った大イベントをやろうとしており、たぶんテレビ放映も行われるでしょう。
 カサグランデ&リンターラの両氏はフィンランドのアーティストで、母国からユーラシア大陸を横断してきて、途中で出会った民族の素朴なファッションを集めてきて展示したいそうです。
 岩井成昭氏はアイヌのユーカラを使い、「雪のウポポ」というサウンドインスタレーション、音を中心とする作品を展示します。地域のアイヌ文化を的確に反映させた作品で、子供たちはじめ私たちにどれほどの文化的、芸術的な刺激を与えてくれるかと期待しています。
 キム・スージャ氏は韓国の女性アーティストで、布を使った作品を展開する方です。色とりどりの布を持ってきて、洗濯物プロジェクトとでもいいましょうか、洗濯ひもを使い、競馬場の広さを生かした屋外でのスケールの大きな作品を構想しています。
 ドイツのインゴ・ギュンター氏は「十勝マン」というタイトルで展示をします。この方はメディア・アート、すなわちビデオカメラやコンピューターを使ったアートを行っていますが、3次元映像で、その場所に入ると十勝の人の体形のサイズを取っていき、平均値をコンピューターで出して、十勝の人は体形から顔から胴の長さまでこうです、と映像展示することも考えており、非常に面白い展示となりそうです。

 広域で展開する大イベントに
 競馬場の外では、シティ・プロジェクトということで平原通りを中心に作品が入り、緑ケ丘公園などでの展示もあります。帯広美術館ではニルス・ウド氏が自然素材を使った写真アートを展示します。新得、幕別、芽室、音更、鹿追、中札内でも素晴らしい展示を計画中です。
 そのほかニアルプロジェクトが進んでいます。3人のアーティストが住宅メーカーの協力を得て、家の現状とでもいうものを展示します。2ヘクタールの面積に、北方住宅の部分、例えば窓枠やドア、断熱材などを使って作品を構成するものです。
 きっと北海道でかつてない大イベントになるでしょう。経済的な波及効果は私どもの算定では約100億円。アートが経済にも貢献できると思います。どうぞ楽しみにしていてください。