2004-2005年度会長報告
第2978例会 合田 修 会長報告
2005 年 6 月 22 日
気温の上昇と共に今年度もいよいよ佳境に入って参りましたが、先週の土曜日18日には帯広RACの創立30周年記念式典が文化ホールで開催されまして、当クラブからも多くの会員の皆様のご出席を頂きましてありがとうございました。
帯広RACはRI創立70周年、帯広RC創立40周年、更に帯広市内から初のガバナーが選出された記念に合わせまして、RIが推進しております社会奉仕プロジェクトの実践により、当時市内3RCの提唱によって結成されましたが、以来30年間に渡って活発な活動がなされてきました事は、我々提唱クラブにとりましても大きな喜びではないかと思います。又、記念式典に続いて行なわれました記念講演では、当クラブの大江会員が「現代社会とストレス~ある精神科医の経験から学ぶ~」をテーマにドクターとしての専門性を活かした素晴らしい内容のお話をされ、参加された聴衆も熱心に聞き入っておりました。更に式典では、提唱市内5RCに感謝状が贈呈されまして、クラブを代表して受け取って参りましたが、こちらに展示してありますのでご覧頂きたいと思います。帯広RACの今後のご活躍を祈念致しますと共に引き続き支援をして参りたいと思います。
さて、今年度の会長報告も本日を含めまして後2回となりましたが、これまでその殆どをロータリーに関する情報として歴史を含め報告をさせて頂きました。丁度この時期は次年度との端境期に該るせいか、国際大会がシカゴで開催されている以外RI・地区共に大きな動きはありませんので、今日は私の職業に纏る話をさせて頂きたいと思います。
ロータリアンの皆さんは、事業用・居住用と多くの不動産をお持ちの方が多いと思いますが、この不動産を所有する事に対するコストとしての代表に固定資産税・都市計画税、又、相続税・贈与税、更に現在は課税停止となっておりますが特別土地保有税があります。この課税の元になる評価額の決定システムですが、10年程前から公的評価の一元化というのが図られまして、地価公示価格~地下鉄工事ではありません。新聞・TVを通じて年に2回全国の土地の評価額が取引の目安として発表される価格の事です~の80%水準が相続税・贈与税、同じく70%水準が固定資産税・都市計画税の評価額として法制化されております。従いましてこの地価公示価格の動向というのが、課税に大きな影響を与えている事になります。帯広では昭和49年からこの地価公示制度が実施されておりますが、バブル経済に伴います土地の価格高騰、帯広は平成3~4年頃がピークになりますが、当時の価格水準と比べますと現在商業地の一等地である西2条南9丁目界隈の価格はほぼ1割水準まで落ち込んでおります。実に9割が何処かへ消えてしまった訳ですが、これはバブルの清算だけではなくて、やはり郊外への大型店進出に伴う商業圏域の構造変化による処が大きいものと思われます。現在のこの1割水準はデータがありませんが、数字の上では恐らく昭和30年代後半の価格帯であると推測されます。然も現在の貨幣価値で換算しますと、更にその1/3程度となるのではないかと思います。戦後の高度経済成長からバブルで狂乱、そして平成不況に至る経緯とその間の土地価格の動きが、この地価公示価格の推移を見て、改めて考えさせられる気が致します。
処で最近は余り使われなくなりましたが「沽券にかかわる」という言葉があります。この「沽券」というのは明治維新前、町家の土地の売買証文で土地の所有権を表す大事な証文、現在の権利証に該る書類の事です。この沽券には土地の坪数や沽券高という売買価格が記入されておりまして、徳川幕府時代に土地の売買価格を知る事の出来る唯一最大の情報源であった様です。幕府が町家の一角を買い上げる時や、地代や家賃の争い事が起こった時に奉行所が、この沽券高を参考として裁定を下したという重要な金額でありますが、想えば現在の地価公示制度が徳川時代から実施されていた事になります。沽券に記入された沽券高がいわば資産価値を示す事となりますので、財力を誇示する事が名誉であった地主さんからすれば、これが転じて体面・品位・威信にかかわるという現代の意味になりました。
尤も、「今更、この様な話を聞かされたのでは、我等の沽券にかかわる」という先輩諸兄にはお許しを頂きながら、本日の会長報告に代えさせて頂きます。