2011-2012年度会長報告
第3297例会 平成24年5月9日 会長報告 加藤維利会長
2012 年 5 月 9 日
いよいよ5月に入って、街路樹や庭先の木々の枝に淡い緑色の若葉が急に視界に広がるようになってきました。北海道はツツジも辛夷も桜もチューリップも、一斉に咲きほこり、1年中で1番にぎやかな花の季節だと思います。
今日は久しぶりの、夜間の花見例会です。外はまだ寒いので夜桜を見ながら、という訳にはいきませんが、花より団子、花見酒ということで、花盛りのこの季節の第1例会をにぎやかにいきたいと思います。
ところで、お花見と言えば桜。日本人は桜の下で酒を飲みたくなってしまいます。なぜなのか。ほかの花を愛でながら、酒を飲むことはありません。日本には古来より山の神を信仰する、サガミ信仰があります。サは神様のことで、日本国中にサのつく地名がたくさんあります。例えば、相模、薩摩、讃岐、佐渡、上総、下総、若狭、土佐、武蔵などですが、まだまだ古代の地名にはサの付く地名が多くあります。
帯広では酒米の「彗星」の種植えが始まったという記事が新聞に載っていましたが、本州では田植えがすでに始まっています。この時期は里山に「サ神様」が降りてくる月で「さつき」と言い。苗は「さなえ」、田植えをする女性は「さおとめ」、その時期の雨を「さみだれ」など田植えの神様に関する言葉となっています。
この時期、本州は4月(旧暦の5月で)に咲く花をサクラといい、古代の日本人にとって田作りをする合図でした。それは、稲の神霊の宿る樹木とされていたようです。そのサクラの「サ」はサ神様を表していますが、クラは古語では神霊の座る場所とされ、神様がそこを目指して降りてくるところを現しています。
古代人はサクラという「サ神」神霊が宿っている桜の花の下で、お神酒であるサケをサカズキ(杯)に入れて、おつまみのサカナ(肴)やサイ(菜)をサラ(皿)にもりつけ、お供えをする。つまりササゲ(捧げ)、それをオサガリ(お下がり)として飲食することにより、「サ神様」のお祝いの意味でのサイワイ(幸福)をサズカ(授)ろうとします。
そして、サカエ(栄え)、サカリ(盛り)、桜の花がサク(咲く)等、「サ」のつく言葉は古代人の言葉として、おびただしい数があります。つまり、サのつく言葉はすべて神聖な意味を表しています。
昔の人は山の峠のサカ(坂)を越えるときに、その山の神に無事を祈願して手を合わせていました。それが手向けといい、タムケとなり、タウゲから、トウゲ(峠)という言葉ができました。また、山の神を礼拝するときには立ったままでは失礼に当たるため、サ(山の神)オガムから、シャオガム、そしてシャガムという言葉になったと言われています。
今日は桜の木も花もありませんが、平安時代の宮中の貴族のように気品のある我々ではありませんので、古代の農村の庶民のように、映像の中で「サ神様」にお祝いをしていただき、満開の桜をイメージしてロータリーの親睦を深めて多いに楽しんでいただければ、「サ神様」も喜んでくださるものと思いまして会長報告とさせていただきます。