2001-2002年度会長報告
第2793回例会会長あいさつ 2001.8.22
2001 年 8 月 22 日
帯広市新図書館
帯広市の新図書館建設について、市議会の新図書館建設調査特別委員会で論議が進んでいます。候補地が駅南、現在地、緑ケ丘公園、中央公園北側の四ヶ所に絞られ、来月には結論を出す見通しとのことです。
実は平成11年1月に、市図書館協議会が行った新図書館についての基本構想の答申では、「都心部もしくはその周辺への立地が望まれます」ということをはっきりうたっているのです。それなのになぜ、今もまだ揺れているのかと疑問に感じてはいますが、今日は立地と並んで重要な、図書館の役割について話します。
図書館の役割
図書館を、本を借りて読む、または子供や受験生が自習する場と理解されている方が多いのではないでしょうか。ところが諸外国、特に経済発展の著しいアメリカでは位置づけがまったく違うのです。本を読む場だけではなく、コミュニティの中心、地域のシンクタンクとなっているのです。
ニューヨーク公共図書館
ニューヨークの公共図書館は、五番街のロックフェラー・センターとエンパイアステートビルディングの間の一等地に立地します。五千年のスパンで、五千万点の収蔵資料があるといわれ、普通の図書館とともに、芸術図書館、科学産業ビジネス図書館などがあります。
朝十時から夜十時まで開放され、もちろん日本人が行っても自由に使えます。人種、国籍、貧富は一切問わない。ある意味では弱者救済の場にもなっています。
起業家の支援
例えばゼロックスは、民間の発明家がここのビジネス図書館で勉強し、ヒントを得て開発しました。図書館が新しいもの、発想を作り上げる場となっているのです。起業したい人が訪れると、関心のある分野のあらゆる資料が備わっています。インターネットは無料で使え、必要であればパソコンそのものも個室も貸してくれますから、そこで本を読み、世界の情報源につなげ、新たな事業を考えることが可能なのです。
このほか、芸術図書館はビデオライブラリーを備え、小さなパフォーマンスまでビデオに収録しています。録音テープではマリア・カラスがどこで何を歌ったのか、聞くことができるのです。身体障害者用図書館では点字や朗読も充実。今人気がある健康情報図書館では、医療情報、医者の格付けランキングも簡単に見ることができるという具合です。
図書館司書
もう一つ注目すべきは図書館司書の存在。大学院を修了し、コンピューターを自在に操れ、自身が持つ情報もレベルが高い。利用者が希望を言うと、その分野の資料を丹念にあたり、コンピューターの使い方も教えてくれるのです。
専属の司書に加えて、2000人ものボランティア司書を抱えている。知識などのレベルをしっかり審査した上で採用され、充実した司書体制を支えています。
新図書館に関心を
弱者救済、経済の活性化、デジタルデバイドの救済、芸術文化の振興、コミュニティの中心になっているのです。まさに知の中心に位置づけられているのが欧米の図書館の現状です。
私たちの帯広にも今、新しい図書館が作られようとしています。我々のコミュニティ、知の中心として、どこに立地し、どういう位置づけをすべきかということを、真剣に考えるタイミングではないでしょうか。