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2001-2002年度会長報告

第2813回例会会長あいさつ 2002.1.16

2002 年 1 月 16 日

2005-6会長

 広報の充実を
 今月はロータリー理解推進月間です。私どもは一所懸命活動を展開していますが、意外に市民、特に女性や若い層にはほとんど認知度がなく、広報が必要です。国際ロータリー(RI)会長のリチャード・キング氏も痛切に感じ、広報の充実を掲げています。
 ロータリーの事業では、ポリオなど医療・福祉への奉仕、教育面の奉仕として、財団奨学生で海外留学に1人180~200万円を投下しています。また米山記念奨学生で中国からターブ・シラトさんが帯広畜産大学大学院に留学しておられ、こちらにも200万円程度。私どもの奉仕の結晶です。
 一方、自己研さんという面では、専門職業人として集まり、食事をし、情報交換や勉強をしている成果はかなり上がっていると考えます。

 BSE問題は農業の転換点
 今、十勝で最大の話題はBSE(牛海綿状脳症)いわゆる狂牛病です。十勝の農業総生産は年間2300億円で、これが17年間も続いています。派生する経済効果は1兆4500億円に達するといわれています。農業総生産のうち、生乳・乳牛で700億円、肉牛で200億円超、その他を含めると酪農・畜産全体で約 1000億円になります。農業の主たる売り上げとなっている牛にBSE問題が発生した。どう対応するかが十勝の経済に影響しないはずはありません。危機であると同時に、ある意味で大チャンスと思います。すなわち農業の体質を変えるチャンスです。
 農業者は影響をいかに小さくするかに主眼を置いて、「報道のトーンを抑えてくれ」「安全だから牛肉を食べてくれ」と主張されています。大変な被害を受けての当然の主張ではありましょうが、よく考えると、生産者本位の考え方が出ているように思えます。生産者の方々の受け止め方はどちらかというと農水省寄り。道庁の対応は生活者、消費者寄りの処理の仕方です。
 肉牛として出てくる牛を全道で3万頭余検査しましたが、実際に北海道には120万頭の牛がいますし、十勝には38万頭です。一部を検査したに過ぎないのです。

 生活者の視点で対応したドイツ
 ドイツでは2年前の2000年11月24日に狂牛病が発生しました。ドイツは農業の転機ととらえ、消費者保護に路線転換したのです。消費者保護大臣を中心に対応策を行っています。
 もう一つ、懸念されるのは牛乳の安全性です。牛乳は安全といわれていますが、週刊文春は危ないと報道し始めました。今までの検査では牛乳は何ともありません。しかし絶対ではない可能性を彼らは指摘しています。牛が乳房炎の時、搾乳時にプリオンを含む膿が混入する危険がゼロではないという問題点です。消費者側に立った主張といえるでしょう。ドイツでは狂牛病の牛から搾った牛乳は、市場までさかのぼって回収しています。イギリスも同じです。今さら日本でさかのぼって回収はできませんが、少なくともそのような姿勢を見せていくべき状況だと思います。
 私は十勝農業を心配しています。農業者の方々も、消費者の立場でBSE対策をとらえなければ、すなわち生活者の立場に立ったビジョンを持たなければ、乳牛の生産に危険信号がともるという気がしています。

 BSE問題は食糧・環境問題
 いまや十勝の乳牛の生産効率は世界一です。年間一頭あたり8000リットル以上搾乳しています。イギリスの5000リットル台、ニュージーランドの3000リットル台と比較しても膨大です。
 ただ、1ヘクタールあたりの飼養頭数はヨーロッパでは既に2.3頭。デンマークで2頭くらいをめどとし、理想的には1.5頭までもっていかねば環境負荷への解決はつかないといわれています。十勝の現状は5~7頭で、環境負荷は相当なもの。過放牧といわれる状態です。
 消費者サイドの意見を、生産者サイドの意見に対してしっかり言い、今後の十勝の酪農・畜産をどうするかという柱を立てていかなければ、十勝の農業の将来はないと考えます。
 アメリカの環境学者のレスター・ブラウン氏が、ノルウェーの石油事業家の言葉を引いています。「社会主義は、経済の真の姿を隠ぺいしたために崩壊したが、資本主義は、市場に生態系の真実を知らせないがために崩壊するかもしれない」。BSEは食糧問題であるだけではなく、環境問題でもあり、十勝の産業の根幹を成す酪農・畜産業の重要な転期であると私なりに主張させていただき、会長あいさつといたします。