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2001-2002年度会長報告

第2816回例会会長あいさつ 2002.2.6

2002 年 2 月 6 日

2005-6会長

歴史的には大転換期
 本日のプログラム、高井修帯広土木現業所所長さんのお話は、歴史的に振り返ると、今が大転換期にあったと分かるのではないかという内容でしたが、先日、ハーバード大学名誉教授のガルブレイス氏の話を新聞で目にしました。彼は日本の不況に非常に好意的な見方をしています。「日本は偉い」と。要するに、ローマ・クラブが言った「成長の限界点」です。環境問題のために低成長に突入した日本は偉いと評価をされているようです。私たちみんな不況にまいっているだけに驚きました。低成長は環境に負荷をかけませんから、歴史的にみると本当に大転換点なのかもしれないと思います。

 ブロードバンド最先端の韓国
 先週、例会を欠席させていただきましたが、1月28日から、道経連の情報通信委員会の視察団12人の団長として、韓国のソウル市、ソウルから南に下ったテジョン(大田)市を訪問してきました。ITビジネスの視察です。特にブロードバンドが世界一発達しています。
 韓国は1997年から98年に経済の大崩壊を経験しました。IMFから資金が入り、98年は6.7%くらいのマイナス成長。ところが、一転して99年には 11%、2000年には9%の経済成長、昨年も2.7%から3%、今年も4%から5%の成長になるだろうと言われています。日本がマイナス成長であるのに対し、大変な勢いです。日本の新聞や雑誌も徐々に取り上げ始めましたが、我々もいち早く視察してまいりました。
 事実、高速道路は4車線から5車線、アウトバーン並みあるいは上回る規模です。街にはビルを建てるクレーンが林立しています。15階から20階の高層アパート-韓国では低層のものをマンション、高層はアパートというそうです-が、しかも光ファイバーが入った建物が林立する状況です。繁栄ぶりが肌で感じられました。

 国の戦略の重要性
 この急激な発展の理由について、私は
 1戦略がしっかりしている
 2スピードがある
 3せっかちで独立心があり、めげない国民性
ということではないかと思います。
 金大統領は、1999年3月に「サイバーコリア21」、いわゆる活性化のための総合対策を作り上げました。これが非常に戦略的でした。韓国全土にインターネット網を、しかもブロードバンドで敷いてしまうというものです。ちなみにブロードバンドは広帯域と訳し、まさに帯広という文字が使われています。ブロードバンドは光ファイバーやADSLなどで、映像をそのままインターネット上で送れます。そのため韓国にはテレビ電話があちこちにあります。電話に、カメラと10インチぐらいの液晶画面が付いていて、そこで話すと顔が完全な動画で相手に届くのです。
 今、韓国のADSLには530万世帯が加入していて、2000万人がインターネットを利用しています。ブロードバンドの普及率は世界一で、全世帯の58%。日本はまだ3%くらい、格段の相違です。
 なぜ一気に国民に拡がったのか、なぜ国の戦略に国民がしっかりついていったのかという点も見逃せません。理由は、国民を引っ張るために、補助金行政を取らず、インセンティブ行政を進めたことにあります。すなわち、これを行うと税金を軽減するという手法です。例えば国は、ネット上の取り引きには、消費税をかけないというインセンティブを与えました。行政側の業者への発注も、農産物の取り引きも。これが功を奏し、e-ビジネスが一気に普及したのです。
 また、同じ99年3月には「国民情報化教育総合計画」を決定しました。韓国には1万400の小中高校があり、そのすべてに、昨年4月までにパソコンを完全配置したというのです。授業では1人に1台パソコンがあるという状態になっています。対して北海道では、1台のパソコンに22人くらいの児童・生徒という状況です。
 それと、PCバンという、パソコンやインターネットを体験できる場所が、韓国875市町村に2万ヵ所も設けられ、街なかであればいつでも、ほとんど無料でインターネットもゲームも利用できるのです。

 KAISTにみる創業コンプレックス
 さらに、テジョンにKAIST(韓国高等科学技術院)という学校があります。12年前にソウルから移転し、インターネット教育を進めると同時に、学内に起業家のための場所を提供しています。何と今、135社、1235人がキャンパス内に入居し、年間120億円の売り上げを上げています。
 創業のための資金はベンチャーキャピタルから得ています。いいと思ったところには、学校も無利子に近い形で融資をします。その企業が上場されると、優先的に株を購入できますから、学校に利益が入る。要するに、テジョンの一画に創業コンプレックスを作り上げ、起業を支援しているのです。
 日本では小渕政権時代からIT化、e-ビジネスについて国家を挙げて取り組むとうたい、小泉首相も7重点項目の1つにしていますが、さっぱり進まない。戦略がないからです。韓国の事例は今後の帯広・十勝にも参考になると思い、あいさつとさせていただきます。