2023-2024年度会長報告
第3813例会 令和6年1月24日 会長報告 工藤 大輔 会長
2024 年 2 月 15 日
みなさんこんにちは。1月は職業奉仕月間ということで、第1例会でも職業奉仕はロータリーの核心だと申し上げましたが、今日は私たちが普段歌っている「四つのテスト」の誕生にまつわるお話をいたします。
「四つのテスト」の創案者はハーバート・J・テイラーという人で、ある時、世界大恐慌のあおりを受けて破産寸前だったシカゴのクラブ・アルミニウム社という調理器具メーカーの再建を依頼されます。元の会社を辞め、当時の給料の8割減の報酬で社長に就きます。会社の再建に失敗すれば、250人の従業員が仕事を失うことになります。彼はこの状況から脱出して、会社を再建するためには、道徳的、倫理的な指標がどうしても必要だと考えました。従業員が正しい考え方を持って正しい行動をすれば、会社全体の信用が高まるに違いありません。そこで社員が簡単に憶えられて、自分を取り巻く全ての人たちに対して、考えたり、発言したり、行動したりするときに応用できる、道徳的な指標が必要と考え、自問形式の「四つのテスト」ができました。
テイラーが「四つのテスト」をつくって、まもなく、早速それを使う機会が訪れます。「世界で最高の調理器具」というキャッチ・フレーズが書かれた印刷物の校正刷りが、彼の手元に届いたのです。「世界で最高だということを証明することはできないし、それは間違いかもしれません。」彼は広告担当のマネジャーを呼んで、最高という文字を削除し、それ以来「最もよい」とか「見事な」のような単語を使うことをやめて、単に製品についての事実を述べることにしました。さらに競合他社の欠点を論ずる文面も、広告や企業案内から取り除かれたのです。
またある時、取引先の印刷所が見積を間違えるという事件が起こりました。印刷所は、納品後に、安く見積していたことに気づいて、半ばあきらめながらも、その事実を会社に告げました。その訴えを退けることは可能でしたが、「四つのテスト」の「みんなに公平か?」に抵触するという意見に従って正規料金を支払うことにしました。高い道徳的水準に基づいた真摯な会社経営は、消費者の信用につながって、結果、顧客や従業員の間に、会社に対する信頼と好意が生まれ5年後、借金は利子とともに完済されました。この「四つのテスト」の存在が知られのは、1939年にテイラーがシカゴ商工会議所の会合でこの話を披露したのを、他の会員が聞いていたことに始まります。テイラーは1939−40年度にシカゴ・クラブの会長、1954-55年度に国際ロータリーの会長を務め、その際この「四つのテスト」の版権をRIに寄付し、今日に至っています。
「四つのテスト」は世界各国で訳され、ロータリーではもちろんのこと、社会的、政治的な問題や、人間の生活に影響を与えるすべての人間関係に驚くべき成果を与えています。「四つのテスト」は帯広クラブの毎月第1例会で歌われますが、クラブが歴史的に職業奉仕を重要視してきたことの表れではないかと思います。
そしてもう一つ、「ロータリアンの行動規範」があります。ロータリーでは、高潔性と高い倫理を重視していますが、「四つのテスト」とともに、ロータリアンとして職場や生活のあらゆる場面で倫理的行動を実践するための指針となっています。
ロータリアンとして私は以下のように行動する。
1. 個人として、また事業において、高潔さと高い倫理基準をもって行動する
2. 取引のすべてにおいて公正に努め、相手とその職業に対して尊重の念を持って接する
3. 自分の職業スキルを生かして、若い人々を導き、特別なニーズを抱える人々を助け、地域社会や世界中の人びとの生活の質を高める
4. ロータリーやほかのロータリアンの評判を落とすような言動は避ける
5. ロータリーの会合、行事、および活動においてハラスメントのない環境を維持することを支援し、ハラスメントの疑いがあれば報告し、ハラスメントを報告した人への報復が起こらないよう確認する
来週はこの3に関する過去の活動について報告させていただく予定です。
以上会長報告とさせていただきます、本日もよろしくお願いいたします。