2011-2012年度会長報告
第3301例会 平成24年6月6日 会長報告 加藤維利会長
2012 年 6 月 6 日
「ロータリーって何をするところですか」。「ロータリーってどういう目的を持った組織ですか」。と聞かれたときに、皆さんは即座に答えられるでしょうか。これは「Object of Rotary」の日本語訳が「ロータリーの綱領」となっているために「ロータリーの綱領」を説明すればいいのだということに気がつかない方が多いためだと思います。
戦前の初代ガバナーの米山梅吉氏は「ロータリーの綱領」と「ロータリーの目的」の二つを使っていましたが、2代目ガバナーの伊坂孝氏の在任中は「ロータリーの目的」で通しています。しかし戦後のRI復帰後の公式文献はすべて「ロータリーの綱領」で統一され、「ロータリーの目的」という呼び方は姿を消しています。
1927年頃まで「ロータリーの綱領」は6項目からなっておりObject of Rotary」ではなく「Objects of Rotary」でした。「ロータリーの綱領」が4項目になったのは1935年のメキシコシティ大会からです。更に現在の「Object of Rotary」の単数形になったのは1951年のアトランティック・シティ大会からです。
綱領の中に書いてある「the ideal of service 奉仕の理想」も分かりにくい表現となっています。これは米山梅吉氏が日本語訳にしたときにidealを理想と訳したためと言われています。「ロータリーの源流」の田中毅さんは「Ideal of service」をシェルドンが唱えた職業奉仕理念と「超我の奉仕」の社会奉仕理念の2つが対になって、ロータリーの哲学であるロータリーの奉仕理念「Ideal of service」があると話しています。つまり「奉仕の理想」は「奉仕の理念」ということになります。
「綱領」の和訳については以前から多くのロータリアンが意見を述べています。これを簡単に「目的」という単語に変えられない理由があります。綱領等翻訳問題調査研究小委員会という委員会と定款第4条問題検討委員会が意見交換をしながら、「綱領の正訳」について議論をしているようです。いずれ、正しい翻訳ができると思っています。
ところで、ロータリーの定款第15条にはロータリーの綱領の受諾と定款・細則の遵守(じゅんしゅ)が書いてあります。つまり綱領を受諾・遵守することが入会の条件となっています。あらためて綱領を読み返しロータリーの理念を理解しロータリー運動の質を高めていただくことをお願いしまして会長報告とさせていただきます。